渓のライフマネジメント日記

日々の活動と雑感をゆるゆると記録するところです。みんなHAPPYになっちゃえ。

技術士試験答案「理工系分野の技術者不足に対する課題」

 さて、技術士二次試験受験のため、前回に続いて二本目の答案です。

 

前回記事はこちら。

kei-apple.hatenadiary.com

 

 前回はまずは3枚の分量をイメージしたく、試験といえば後半の大問が重要というイメージから、選択科目Ⅲに挑戦したところです。

ところがよく見ると午前の必須科目Ⅰは2時間で回答する必要があり、ここでA判定を取れないと絶対に合格できません。一方、選択問題3は午後の試験のため時間に余裕があります。つまり、早めに慣れておくのであれば、解くべきは午前の必須科目のほうでした。

 テーマは2種類から選びますが、今回も技術的勝負は避けたいところです。どうも、出題の選択では片方が技術的分野を掘り下げる場合、もう一方は受験者に不利が生じないよう、俯瞰した内容のテーマに設定するようです。

 僕のようなニワカ技術者は比較的クソデカ主語の意識高い系テーマの方を攻めます。深い話で勝負できないわけで、戦略としては広い内容を扱うテーマを選択し、範囲をスコープすることで自分の領域での勝負にもっていくのです。

 限られたテーマでの勝負は、強味を生かせれば最高なのですが、逆に言うとヤマを外すと勝負ができませんからね。これについて「多面的」つまり自分の知ってる材料で勝負します。専門的な部分で勝負するのは分が悪いですからね。

 

 

必須科目試験対策

 設問は概ね同じ問いかけなのですが、選択問題3に比べて必須問題1は解答への細かな要求が追加されていますね。これがこの回だけの傾向なのか、毎年異なるかはもう少し観察してから判断したいと思います。

 さて、この設問から、出題者が意図するところの技術士像が見えてきます。

・ある問題に対して、多面的な観点から、最低3つの課題を抽出できる。

・その3つの課題に順位を付けられる(最も重要な課題が何か説明できる)

・最も重要な課題を遂行するための手段(解決策)を複数提示できる。

・その解決策を取った場合の効果(リスク)を把握している。

・リスクに対する対策を説明できる。

・これらを技術者倫理と持続可能性の観点で評価できる。

といったところでしょうか。

 

ところで、必須問題1では選択問題3になかった技術者倫理と持続可能性の観点の設問が追加されており、当初気づきませんでした。

そのため上手く書けず文字数がオーバーしております。だって同じ感じの出題だと思ったんだもん!

このあたりの回答は、定型化して倫理面:~~ 持続可能性:~~と記述できるよう事前にパターンを作っておくと良いかもしれませんね。

 

模擬試験のテーマ

 今回のテーマは令和4年度必須科目Iー1「理工系分野の技術者不足」です。

諸条件はありますが大まかに言ってこのテーマに対して、

(1)対応のための課題を3つ

  ①実務で求められるスキルと現状との不一致の観点

  ②実務の生産性の観点

  ③専門分野の魅力や発展性の観点

(2)その中で、最も重要な課題とその解決策

   ハードウェアとソフトウェアの区別を明記すること

(3)全ての解決策を実施したとしてもなお残るリスクとその対応方法

(4)技術者倫理、持続可能性の観点からの要件・留意点

について記述します。

 

 

模擬試験の答案

1.理工系分野の技術者不足に対する課題

①実務で求められるスキルと現状との不一致の観点

 理工系分野の業務は、これまで単一の技術部門や対象領域を扱ってさえいれば良い傾向にあり、設備管理の分野においても特定の現場や機器、メーカーの制作方針に特化した維持管理基準となっており、技術者に求められるスキルも相応の範囲となっている。

 しかし、将来に向け、一人の技術者が対応する範囲が拡大し、多種多様な設備を扱う必要があり、それぞれに応じた管理方法を収束することが課題である。

②実務の生産性の観点

 維持管理の分野においては、地域に点在した管理設備や、高所や道路上のMH内の点検口、テレメータや電力送電線など移動時間に点検業務の大半を費やしている現状にある。 そのため、DX導入による監視手法と、維持管理業務のICT化による効率化が課題である。

③専門分野の魅力や発展性の観点

 SNSや動画配信サイトで、情報発信できる時代となり、これまで陽の当たらなかったマイナーな分野でも、詳細な情報を手に入れたり、コミュニケーションを取ることができるようになった。一方で、今後大きく発展することが望めないローカルな分野は、技術者自身が高齢で、新規参入する技術者も少なく、技術継承するインセンティブに乏しく技術確保に構造的な問題を抱えている。今後新しい技術に置き換わるまでの間、ローカルな分野が継続できるよう外部からもレガシーとなった技術にフォーカスし、その技術が失われないよう調査記録し、保存することが課題となっている。

2.最も重要と考える課題

 将来、日本における労働人口は理工系のみならず大きく減少する。このことに対応するためには、デジタル化やICT化による実務の生産性の向上にいち早く取り組む必要があり、そうでなければ他の課題を解決するための人的資源も生まれない。理工系技術者の中でも、電気電子分野の技術者が負っている社会的責務は大きく、そのためDXの導入やICT化による維持管理部門の効率化が最も大きな課題である。

2.1解決策

①AI解析のための特徴量の網羅(ソフトウェア)

 DXを推進するには、維持管理の現場ごとに存在する様々な条件があり、それらを調査・分析し加味した上でないと、単に統計的データから得られる結論では実情と一致しない可能性がある。そのため導入前の調査では、立地や気候といった基本的な条件から、従事者それぞれに対してヒューリスティック分析まで加え、AI解析時に影響する特徴量を正確に反映させる。

②遠隔監視技術の整備(ハードウェア)

 少ない技術者で広範囲の施設や機器を監視点検するためには、監視設備のセンサネットワーク化により遠方の施設を訪れることなく点検できるよう整備し、また、必要に応じて処置や操作ができるよう、テレイグジスタンス技術による遠隔操作や、遠隔操作ドローンを設置し、現場を確認できるようにする。

③色くデータのクラウド上での管理(ソフトウェア)

 効率的に維持管理業務を進めるためには、点検した結果をいち早く共有し、点検の進行度が確認できるとともに、その内容が評価され対策を取るまでの判断がいち早く行えるようデータをクラウド上に集積する。

 記録データ以外にも、図面や説明書、GISシステムも一元管理することで、どこからでも維持管理業務に従事できる。

3.解決策を全て実施しても新たに生じるリスク

3.1DXやICT化を進めていくと、通信設備や通信路の増強が必要になり、ネットワーク技術が高度化し、技術者のデジタルディバイドが作業を難化させる。

3.2対策

①ネットワークのうち外部化できる部分は保守管理業務を委託化し、自前の部分はシステムを二重化し、緊急時は切替により対応しあとから障害に対応する。

②技術説明会を開催し、対応範囲や対応方法について説明の機会を設け、また訓練により対応能力を維持する。

4.技術者倫理、持続的発展性について

技術者の減少していく社会を持続的に発展させていくためには、他の分野にも電気電子部門の知見が求められ、技術者には高い技術知識を習得し研鑽していくことや、コミュニケーションをとり、協力し、先導していく資質が求められる。

以上

 

模擬試験の添削

というわけで今回も添削を進めてみたいと思います。

添削自体もセルフ添削のスキルが磨かれると思いますので、並行して練習していきます。添削のノウハウは別の論述試験での技術がありますが、概ね「題意に沿っているか」「出題の内容に答えているか」「諸条件に見落としは無いか」などから判断しています。

 

1.理工系分野の技術者不足に対する課題

①実務で求められるスキルと現状との不一致の観点

 理工系分野の業務は、これまで単一の技術部門や対象領域を扱ってさえいれば良い傾向にあり、設備管理の分野おいても特定の現場や機器、メーカーの制作方針に特化した維持管理基準となっており、技術者に求められるスキルも相応の範囲となっている。

 しかし、将来に向け、一人の技術者が対応する範囲が拡大し、多種多様な設備を扱う必要があり、それぞれに応じた管理方法を習得することが課題である。

「単一の」→「限られた」くらいでいいのでは。

傾向と呼ぶには根拠がないので「概して限られた技術部門や対象領域を取り扱っており」あたりのソフト表現にとどめてもいい。

「設備管理の分野」→「維持管理の分野」と表現を統一する。今後設備管理という表現は出てこない。

「各々の現場や機器に特化され、メーカーの設計思想に基づいた維持管理基準」

「が対応する範囲」→「に求められる業務範囲」

「それぞれに応じた管理方法を習得すること」→「これまで必要のなかったスキルを学習する時間を確保すること」

後段でデジタルディバイドのリスクを説明しており、ここで新たなスキル修得の話題が出ていると都合が悪いので、学習する時間の確保(マネジメント)の観点とする。

この課題は重要な課題にあげないので、時間確保の手段を例示しておく方が良いかもしれない「研修内容を見直し」とか付け加えておくとクリアになるかも。

 

②実務の生産性の観点

 維持管理の分野においては、地域に点在した管理設備や、高所や道路上のMH内の点検口、テレメータや電力送電線など移動時間に点検業務の大半を費やしている現状にある。

 そのため、DX導入による監視手法と、維持管理業務のICT化による効率化が課題である。

まず、「理工系分野の技術者」自体がクソデカ主語なので、維持管理の分野にスコープを絞っているが、対象を絞るなりの理由がもう少し必要。少なくとも、解決策では遠隔監視(地理的な問題)、記録のクラウド管理(地理的な問題)以外に、AIによる判定を挙げているのだから、地理的な問題だけでなく記録の判定について問題を抱えていることを説明するとか。例えば、「高度な技術的知識経験を持つベテラン技術者も引退し、インフラ部門、特に維持管理の分野は後れを取っている」というように現状を補足すると良いかもしれませんね。

「DX導入による監視手法と、維持管理業務のICT化」は思い切って「維持管理業務のDX導入とICT化による効率化」で。

「地域に点在した管理設備や、高所や道路上のMH内の点検口、テレメータや電力送電線」などの例示はバランスが取れていないので、「テレメータ設備が広域に点在しており、送電線路は山間部で高所が多く、MH内など地下構造物内にあるなど」で、良いのではないでしょうか。

「移動時間に点検業務の大半を費やしている」も少し穿ちすぎなので、「困難な立地にあり、点検業務の習熟だけでは限界がある」という繋がりにしておけば、最も重要な理由に挙げる話と矛盾しないのではないでしょうか。

 

③専門分野の魅力や発展性の観点

 SNSや動画配信サイトで、情報発信できる時代となり、これまで陽の当たらなかったマイナーな分野でも、詳細な情報を手に入れたり、コミュニケーションを取ることができるようになった。一方で、今後大きく発展することが望めないローカルな分野は、技術者自身が高齢で、新規参入する技術者も少なく、技術継承するインセンティブに乏しく技術確保に構造的な問題を抱えている。今後新しい技術に置き換わるまでの間、ローカルな分野が継続できるよう外部からもレガシーとなった技術にフォーカスし、その技術が失われないよう調査記録し、保存することが課題となっている。

カタカナ語が多くて意味を読み取りづらい。「マイナーな(知名度の低い)分野」「ローカル(閉鎖的な)分野」「レガシー(古くなった)な技術」レガシーはまだいいか。

要はマイノリティでも、技術者の入れ替えがある分野はまだしも、そうでない閉鎖的な分野は人材も硬直化して、属人化してしまいそれ自体にリスクがあるというお話なわけだから、そうすると「技術継承するインセンティブに乏しく」は求められていないよね。「技術の喪失」自体が問題なわけだから、「技術の保存」が課題だよね。

手段として、ナレッジマネジメントが必要とかそういう話なんじゃないの。「継続できるよう外部からもレガシーとなった技術にフォーカスし、その技術が失われないよう調査記録し、保存することが課題」は詳細に書いたと思えば間違っていないけど冗長かもね。

 

2.最も重要と考える課題

 将来、日本における労働人口は理工系のみならず大きく減少する。このことに対応するためには、デジタル化やICT化による実務の生産性の向上にいち早く取り組む必要があり、そうでなければ他の課題を解決するための人的資源も生まれない。理工系技術者の中でも、電気電子分野の技術者が負っている社会的責務は大きく、そのためDXの導入やICT化による維持管理部門の効率化が最も大きな課題である。

全体として悪くないと思うが、「将来、日本における労働人口は理工系のみならず大きく減少する。」→「理工系技術者のみならず全産業において労働者の不足が懸念される中で、」と題意を超えたところに高尚な理由を見つけるのが良いと思う。

そのまま「電気電子分野の技術者が負っている社会的責務は大きく、そのためDXの導入やICT化による維持管理部門の効率化が最も大きな課題である。」と続けてしまった方が良い。

ただ、「理工系技術者の中でも、電気電子分野の技術者が負っている社会的責務は大きく、」は、持続的社会の形成するための要件や留意点で扱いたいところだった。

 

2.1解決策

①AI解析のための特徴量の網羅(ソフトウェア)

 DXを推進するには、維持管理の現場ごとに存在する様々な条件があり、それらを調査・分析し加味した上でないと、単に統計的データから得られる結論では実情と一致しない可能性がある。そのため導入前の調査では、立地や気候といった基本的な条件から、従事者それぞれに対してヒューリスティック分析まで加え、AI解析時に影響する特徴量を正確に反映させる。

 「DXを推進するには、」前段階としてまだデジタル化されていない条件を加えることが確かに必要なんだけど、どちらかというとICT化の要件なのでは。DXを主語にするときは、どちらかというとトランスフォーメーションにフォーカスしないと違和感がある。

 

②遠隔監視技術の整備(ハードウェア)

 少ない技術者で広範囲の施設や機器を監視点検するためには、監視設備のセンサネットワーク化により遠方の施設を訪れることなく点検できるよう整備し、また、必要に応じて処置や操作ができるよう、テレイグジスタンス技術による遠隔操作や、遠隔操作ドローンを設置し、現場を確認できるようにする。

 そしてどちらかというとこちらの方がDXである。対策としてはハードウェアなんだけど。

 

③記録データのクラウド上での管理(ソフトウェア)

 効率的に維持管理業務を進めるためには、点検した結果をいち早く共有し、点検の進行度が確認できるとともに、その内容が評価され対策を取るまでの判断がいち早く行えるようデータをクラウド上に集積する。

 記録データ以外にも、図面や説明書、GISシステムも一元管理することで、どこからでも維持管理業務に従事できる。

 これは明らかに二つの内容を一つのカゴに盛っている。データの共有化は分業の発想で、役割を分ける施策。他のデータの一元管理は、その仕事をまた現場で判断できるように戻す施策で相反する内容になっている。実際にはそうするんだけど、内容が飛躍していて書き方を工夫しないとよろしくない。

 この取り組みの目的は、他の現場グループの移動時間や待機時間にクロスチェックしてもらうことだよ。それ自体が状況の共有になるし、技術知識の属人化を防げるわけだから。とにかく共有化という紺本テーマはから外れないようにしないと。

 

3.解決策を全て実施しても新たに生じるリスク

3.1DXやICT化を進めていくと、通信設備や通信路の増強が必要になり、ネットワーク技術が高度化し、技術者のデジタルディバイドが作業を難化させる。

「通信設備や通信路といったネットワークの健全性が維持監視の品質を左右する前提条件となるため、点検の重要度が上がり点検対象となる設備点数が増加するので、業務量の増になる。」という点は事実なんだけど、シンプルにこのことを記述してしまうと、技術者不足を解消する解決策そのものに疑問が付きかねないということだよね。

 また、そのことは課題1で述べた技術者の業務範囲が拡大することとも関連がある。そうするとこれは「本当は新たに生じるリスクではない」ことになってしまうよね。

 あとは、「技術者のデジタルディバイドが作業を難化させる。」は主述の対照がおかしいよ。デジタルディバイドというのは、利用できる人とそうでない人の間に生じる情報格差のことだから、「技術者にデジタルディバイドが生じ、ネットワークの点検業務が既存の維持管理業務を圧迫しかねない。」というリスクとして記述してはどうだろうか。「既存の」をつけることにより、課題1で挙げた内容とのアイソレーションが取れているよ。

 

3.2対策

①ネットワークのうち外部化できる部分は保守管理業務を委託化し、自前の部分はシステムを二重化し、緊急時は切替により対応しあとから障害に対応する。

①高度な技術を必要とするネットワークの保守管理業務を外部化し、

内部の通信部分はシステムを二重化し、緊急時は切替により対応しあとから障害に対応する。

①高度な技術を必要とするネットワークの保守管理業務を外部化し、内部の通信部分はシステムを二重化し、緊急時は切替により対応しあとから障害に対応する。

 

②技術説明会を開催し、対応範囲や対応方法について説明の機会を設け、また訓練により対応能力を維持する。

4.技術者倫理、持続的発展性について

技術者の減少していく社会を持続的に発展させていくためには、他の分野にも電気電子部門の知見が求められ、技術者には高い技術知識を習得し研鑽していくことや、コミュニケーションをとり、協力し、先導していく資質が求められる。

以上

 

ここの設問にあとから気づいちゃったので、今回はかなり減点になるけども、残り最短文字数次第で埋められるよう結びの言葉となるフォーマットは考えておいたほうがいいかもしれない。本当は配点大きそうだから手抜きはしたくないんだけどね。

「技術者としての倫理の観点から、__A__に留意する必要がある(が要点である)。また、社会の持続性の観点から__B__が要点である(に留意する必要がある)。」

AはDXIoTでは「(施設制御にかかわる重要情報を通信することになるため)サイバーセキュリティへの対応」、Bはこんなふわっとした内容に対して具体例を挙げるのもきついのて「(労働集約型産業から)知識集約型産業への転換」でどうでしょうか。

 

改善後バージョン

1.理工系分野の技術者不足に対する課題
①実務で求められるスキルと現状との不一致の観点
 理工系分野の技術者に求められるスキルは、専門の技術部門や対象領域に特化しており、維持管理の分野においても特定の現場や機器に特化されている現状にある。今後、一人の技術者に求められる業務範囲が拡大し、多種多様な現場や機器を扱う必要があるため、研修内容を見直すことにより、リスキリングの時間を確保することが課題である。
②実務の生産性の観点
 維持管理の分野においては、遠方を監視するテレメータ設備が広域に点在しており、送電線路は山間部で高所が多く、都市部ではMHのような地下構造物内にあるなど調査が困難な立地にあり、点検調査から対策の実施に至るまで時間と労力を費やしている。そのため、維持管理業務へのDX導入とICT化による効率化が課題である。
③専門分野の魅力や発展性の観点
 SNSや動画配信サイトで情報発信できる時代となり、これまで陽の当たらなかった分野でも、魅力や情報を伝え、技術者同士が交流できるようになった。一方、社会を支えている重要な分野であっても、今後大きく発展することが望めない分野は人流が硬直化し、縮小傾向にあるため、技術喪失のリスクを抱えている。
このような分野に対しては、外部からナレッジマネジメントを進め、調査記録や、情報発信を行うことが課題となっている。
2.最も重要と考える課題
 理工系技術者のみならず全産業において労働者の不足が懸念されており、早急なDXの導入やICT化が求められている。それには電気電子分野の技術者の役割によるところが大きく、社会的責務である。
このため、DXの導入やICT化による維持管理部門の効率化が最も重要な課題である。
2.1解決策
①AI解析のための特徴量の網羅(ソフトウェア)
 AI解析を進めるにあたり、既存の記録データだけでは、単に統計的結論となり、実情に合致した結論が得られない可能性がある。AI解析の精度を高めるには、様々な条件を加味する必要があり、立地や気候といった環境的な条件や、技術者の情報や行動特性のような人的条件まで加え、AI解析時に影響する特徴量を反映させ精度を高める。
②遠隔監視技術の整備(ハードウェア)
 少ない技術者で広範囲の施設や機器を監視点検するためには、監視設備のセンサネットワーク化により遠方の施設を訪れることなく点検できるよう整備し、また、必要に応じて処置や操作ができるよう、テレイグジスタンス技術による遠隔操作や、遠隔操作ドローンを設置し、現場を確認できるようにする。
③記録データのクラウド上での管理(ソフトウェア)
 点検した結果を共有することで、相互に結果を評価でき、効率的に維持管理業務を進めることができる。
図面、説明書、GIS情報や記録データをクラウド上に集積すれば、共有した他のグループと相互に、移動時間や待機時間に結果をクロスチェックでき、いち早く不具合を発見することができるようになる。
3.解決策を全て実施しても新たに生じるリスク
3.1 DXやICT化を進めていくと、通信設備や通信路の増強が必要になり、ネットワーク技術が高度化し、技術者にデジタルディバイドが生じ、ネットワークの点検業務が既存の維持管理業務を圧迫しかねない。
3.2対策
①高度な技術を必要とするネットワークの保守管理業務を外部化し、内部の通信部分はシステムを二重化し、緊急時は切替により対応しあとから障害に対応する。
②技術説明会を開催し、対応範囲や対応方法について説明の機会を設け、また訓練により対応能力を維持する。
4.技術者倫理、持続的発展性について
技術者としての倫理の観点から、施設制御にかかわる重要情報を通信することになるためサイバーセキュリティへの対応に留意する必要がある。
また、社会の持続性の観点から労働集約型産業から知識集約型産業への転換が要点である。

 

修正後は以上のとおりです。

意味はだいぶ通るようになりましたでしょうか・・・・?