渓のライフマネジメント日記

日々の活動と雑感をゆるゆると記録するところです。みんなHAPPYになっちゃえ。

令和7年度 技術士二次試験受験記

令和7年7月21日 技術士二次試験 電気電子部門を受験してきました。

このblogを放置していた期間、勉強ばかりしていたかといえばそうでは無く、どちらかというとプライベートが忙しくて集中しての勉強時間はむしろ去年より少ない感じでした。ただ、こういった資質資格を問われる試験は、日々の努力よりも、個人の素質が培われ、あるとき資質が認められ合格できる種類の資格だと思っています。

年間を通じてどのような取組みを実施したか記述していきたいと思います。

 

 

受験概要と勉強期間

まず、選択科目です。部門は電気電子部門で、選択科目は電気設備でした。

このblogを以前から見ていた人は知っていると思いますが、僕の本業は電気関係がメインではありません。しかし、おおよそ実務の範囲ではない電気工事士や電気工事施工管理に比べ、技術士は幅広い技術知識が問われ、実業務の実績が問われない分、受験上の不利は少ない気がしますので、その点はメリットでした。

勉強期間は昨年11月から開始しておおよそ7か月でした。昨年の反省を元に、早期にスキームを組み立てる訓練をすることにしました。

去年の経験から、普段から手書きを意識していれば、直前の模擬試験でペース配分をチェックしておけば筆記そのものが間に合わなくなる可能性は低いと考えたからです。

 

試験にあたり意識したこと

昨年同様ですが、勉強時間が捻出できない状況であったので、いくつか日常において気を付けていたことがありました。まず、漢字に関しては普段からPCで文章を打つ際にも、変換する前に「手で書けるか」を意識して確認し、わからない漢字はメモして、暇なときに書き慣れておくようにしていました。

次に、日常的な些細な物事について、

①概念Aと概念Bそれぞれの要求は何で、トレードオフの部分は何か

②トレードオフを根本的に解消するための、解決策は何か

③トレードオフを軽減できる方法は何か、受容できる水準はどこか。

といった思考練習を反復していました。

昨年はもっと出題に沿った思考実験でしたが、「問題」や「課題」を言語化するのは別の手続きで、これは机上でないと効率が良く無いことに気付いたのです。

そのため、本質的な部分の思考に時間を費やしました。

 

試験当日

会場が決まってからすぐに旅行予約を一旦キャンセルして会場のすぐ近くのホテルを取り直した関係で、試験当日はかなり余裕がありました。また、昨年の反省から、ホテルで保冷剤を作り、コンビニでお昼を用意して、会場から動かないことにしましたので、午前、午後とも試験前に最終確認をする時間を取れました。バタバタと席に着いた昨年とはこの余裕が違うところです。

30分前くらいから試験官が説明を始めましたが、呼吸を整え、精神を集中するだけの時間は十分でした。

 

試験問題 必須1

必須1の試験問題は、テーマとしてはGX、CNを予想していました。実際には、Ⅰ-1はエネルギーの通信ネットワークな構築、Ⅰ-2は、物流ネットワークの構築でした。

さて、テーマ指定だけであれば、他分野と大差ないのですが、電気電子部門は出題のスコープが狭く、条件指定が難解で記述が難しいと言われています。

今年度は、「顕在化していない問題」を指摘せよという条件が付いていました。更に観点がネットワークの構築、ネットワークの制御、その進め方の3点に指定されており、しかも、政策を引用しての解答はNG、単にAIを使用するだけの解答はNGという条件までついていました。つまり、知識だけで回答するのはNGということですね。

 

さて、悩ましいのは「顕在化していない問題」の意味合いです。採点を考慮すると、観点によって公開情報と捉えられる話題であってはいけません。逆説的にいうと潜在的問題ということです。技術者としては予見できているが、公にされていないか、公の理解が得られていない問題のことと考えます。あまりにも安易なことを記述すると、論文の技術水準が低いとされてしまうでしょうし、突飛なら良いという話でもありません。

また、出題側の意向としては、3つの課題それぞれに想定した回答があるのだろうと推察できます。

 

まず、ぱっと思いつく潜在的問題ですが、再エネの賦課金が2028年以降に上昇する話や、多大な託送料金が発生する話はネタとしてはありそうです。しかし、料金、賦課設定の話は電気電子部門の技術的解決にはならないでしょう。

課題個別に見ていきます。

 

①エネルギーネットワークの構築に関する問題

①エネルギーネットワークの構築に関する問題は、一つには、データセンターや半導体工場の建設ラッシュに伴う総エネルギー量の増大が挙げられます。そうすると、将来的にワットビット連携を行う話なのではないかと思います。それに関連して原子力発電を再開する話もあっても良さそう(現実にはこの試験日に関電が新規原発を設置する記事が出ていました。タイムリーですね。)ですが、技術部門の中に「原子力」があるわけですから、これは想定に据えるのは危険です。内容的には認められそうですが、昨年の筆記がシビアに捉えられたと考えると、あえてリスクのあるテーマを採用するのは避けた方がよいでしょう。

 

②エネルギーネットワークの制御に関する問題

②エネルギーネットワークの制御に関する問題は、データ収集及び制御のクラウド移行のデメリットを記述できそうだと考えました。スペインの大規模停電は、再エネの制御が上手くいかなかったことに起因すると考えられています。

日本においても同様なことが起こりうる。という予見・予感を元に構築していくのはスムーズだと考えられます。特に、海外のクラウドサービスやサーバーの利用はユーザー側では対応できないので非常にリスクがあると感じます。

しかし、ここでスペインの大規模停電について記述するのは出題条件の「特定のネットワークを指す」に抵触しますので、一般化した地政学リスク・カントリーリスクを記述する必要があります。私は、ケーブル切断、IP遮断を例示することにしました。

 

③顕在化させたうえで解決策を進めていくうえでの課題

進め方の点は、「即時広域に適用する」点での課題ということなので、コスト面、施工能力、材料調達、世論形成など定番テーマがいくつかありそうです。上記二つに比べて抽出しやすいことは間違いなさそうです。ネタが思いつかない人はここを重要な課題に選ぶのだろうと思いました。

 

重要な課題

特定のネットワークについて記述しないという注意もあったことからすれば、裏を返せば電力のエネルギーに限らずあらゆるエネルギーが対象であるはずで、通信ネットワークを制御する仕組みの方がカバー範囲が広いはずです。

そうすると全体に跨る仕組みや政策、具体にはDXかGXの行き詰まりを指摘することななるのでは無いかと考えます。そして、内容が白書の方針に沿わない(白書の方針に擬音を持つ)内容になってしまいますが、回答条件には違反しません。

ということで、今回はエネルギーネットワークの制御を重要な課題として記述することにしました。

 

 

試験問題 選択Ⅱ-1

定置用蓄電池について記述しました。得意分野でしたので、ここはしっかり記述しました。

 

試験問題 選択Ⅱ-2

ZEB Readyの中規模事務所ビルの建設を選びました。

電力網、雷保護関係、非常用負荷、省エネと記述できるテーマが多いため、こちらを選びました。解答では、負荷設備容量、非常用負荷、省エネ制御について記述しました。

一つ心残りなのは、ZEB  readyは、省エネだけで創エネは無関係という点です。すっかりZEBの内容で記述していましたので、ここは評価なしとなる可能性が高そうです。

また、一次エネルギー消費量と言う単語を使いそびれた点です。ZEBを説明する上で必須だったのですが、手順書風記述なので、これはまあしょうがないかなというところです。

 

試験問題 選択Ⅲ-1

保全方法のあり方を選びました。

予兆保全システムは東京エレクトロンの受変電設備での取組記事を(株式売買の情報取得の関係で)知っていたので、課題の解決策として記述できました。半導体投資の副産物がここで活きてくるから世の中面白いものです。

また、DX関連からは、電気主任技術者の不足、遠隔監視の導入と共通する内容が多かったのでそれらを記述しました。

 

今見直すと直したい部分が多々ありますが、時間内で自分が出せるものはしっかり出せたのではないかと思います。結果発表は10月末。楽しみですね。

 

 

 

技術士二次試験電気電子部門の結果考察

 今年度、技術士二次試験を受験してきました。
初めての会場では緊張もありましたが、最後まで書ききることができたことは個人的に達成感がありました。

 

試験の結果

 結果としては必須1がC、選択ⅡがB、選択ⅢがAと総合判定で不合格でした。反省点は多々ありますが、次年度に向け今回の論文の再評価を記述することにしました。

 

出題内容について

 今回の出題内容は、最初に「一般的な働き方改革に起因する社会全体のシステムのリエンジニアリングについて問うものである。」と告げられています。ここで、最初に「リエンジニアリング」とは何かをよく理解していないと、躓くことになるのでしょう。とはいえ、リエンジニアリングという言葉自体がそこまで特異な意味を持つわけではないので、素直に記述していっても問題ないような雰囲気です。
 そもそも、電気電子分野の必須問題は、他分野に比べ非常に抽象的な出題が多いようなところがあり、掴みどころがない出題もあります。加えて、制限が多く、解答が縛られるところに厄介なところがあります。(ほかの分野しらんけど)

 

僕の回答

 僕の回答は、問題文の冒頭にある「一般的な働き方改革に起因する社会全体のシステムのリエンジニアリングについて問うものである。」という文章を見て「一般的な働き方改革の目的=ウェルビーイング」という図式からスタートしました。要は、2024年問題などの建設業や運輸業の問題にフォーカスが当たっているなか、働き方改革の本来の目的を問う問題だったのではないかと踏んだのです。これは忘れている人が多いだろうということで、Ⅰ-2よりも優位なのではないかと考えたのです。
 ところが、この解釈には別の読み方があったようです。「一般的なリエンジニアリング」と係るのが正しいのではないかという読みだそうです。後に述べますが、是非はともかくこの解釈に従った方が良い結果になったのではないかと思います。

 

 内容としては前回の記事に書いた通りですが、そもそも僕の答案は、禁則事項に大きく触れていました。今読み返すと公共交通の観点で都市政策を語り、通信網の観点で通信行政、電力網の観点で電力行政についての課題を挙げており、問題にある「政策、人事などは含まない」という条件に完全に抵触していました。
 重要な課題の解決策も、需要家の生産消費者化(プロシューマ化)という政策と、電気主任技術者の確保という人事と完全に地雷を踏んでいたような気がします。ちなみに、同様の政策を記述したⅢ-1はA評価でした。こちらは政策や人事について記述制限はありません。そうすると、確かにスコアが低くなるのもやむなしですかね。

 

問われているのは何か

 さて、社会全体のシステムのリエンジニアリングというワードから読み取れる出題意図ですが、僕は大昔、リエンジニアリングという言葉がはやったときのことを思い出しました。リエンジニアリングというのはIT革命の頃に流行ったトップダウンで業務フローを見直す仕組みです。ですので、どうしても政策気味な記述が多くなってしまっていたのです。
 しかし、今改めて考えると「社会全体のシステムのリエンジニアリング」とは、デジタル庁の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」における2. デジタル社会の実現に向けた理念・原則の記述にある「業務改革(BPR:Business Process Re-engineeringの略称)の必要性」のことを指していると思われます。
 また、ここでBPRという単語を聞いてピンとくるのは性能発注やPPP/PFIの導入におけるビジネスプロセスの見直しです。今さらですが、僕はこちらで記述することもできたので、ここは素直にBPRについて書くべきだと思いました。
 一見、社会システム(=制度設計)についての問題を技術的手法で解決する記述で良さそうに見えますが、政策や人事を除くと明言されていることや、前述の計画の内容を見ると正反対で、デジタル化に先駆けて対応すべき業務改善のことを記述して欲しいのだとわかります。即ち、現実に即した業務改善を記述する必要があり、政策や政策に近い解決策は題意を損ねているという判断になるのではなるということですね。
 ちなみに、I-2の出題も当該計画の「デジタルに関する供給側・需要側双方の産業のモダン化」から出題されており、今年度の電気電子部門の必須問題はデジタル庁の施策を読み込んでいた人ほど合格率が高かったのではないだろうかと考えます。(現に、デジタルに強い世代である比較的若年層のJABEE認定者が合格率10.2%中9.8%を占めており顕著ですね。)
 

次年度に向けて

 さて、色々想像はしてみたものの、実際のところⅠ-1の回答者が周りに居なく、どういう回答を作っていれば合格だったのかというところはイマイチわかっておりません。もし、今回の試験について、自分の回答はこうだったよとか僕の論文をチェックしても良いよというような方がおりましたらご連絡ください。

 次年度に向けて改めて論文の作り方、引き出しの増やし方を高めていく必要があると感じたところですが、まずは、正しい論文を書きなおすところから始めようかと思っています。

 ではでは。