スタッドレスタイヤ交換のおすすめツール
雪国のこのシーズンの風物詩、タイヤ交換の時期になりました。今回はそのタイヤ交換についての手順と便利なツールの紹介です。
あらすじ
時は2021年11月23日
今年の平地降雪予定日は11月24日
謎の声「まだスタッドレスタイヤ交換してないやつ、いるぅ~?」
ぼく「はい・・・すみません・・・」
というわけで今回はスタッドレスタイヤ交換についてのお話です。
どうしてタイヤ交換が必要なのか?
雪国の冬の道路は危険です。交通事情は夏場と大きく様変わりするため、降雪期の前に凍結路面に強いスタッドレスタイヤに換装をするのが車所有者の定期イベントになっています。
ちなみに、スタッドレスタイヤだからと言って全く滑らないわけではありません。路面が凍結していると余裕で滑ります。徐行やクリープで運転すれば大丈夫という人も居ますが絶対ではありません。
ブラックアイスバーンになると、想像を大きく上回る事態になります。
ブラックアイスバーンって知ってますか?
外気温が-10℃を下回り路面が完全に凍結した状態になると、完全にスケートリンクのような滑走面になり、エンジンがかかっていようがブレーキを踏んでいようがお構いなしに滑走してしまいます。
特に一見乾燥した路面のように見えるブラックアイスバーンは事故の多発要因です。 突然のホイルスピンに車のコントロールを奪われ、アクセルコントロールによる制御も難しく、多数の事故が発生しています。余りにも路面が滑りやすいため、過去には車両完全停止、サイドブレーキを引いた状態で路駐していたはずの車が、勝手に横滑りして衝突するという無人事故の事例もありましたし、その事故の検証に来たパトカーが車止めすら無視して坂の下まで滑走し自損事故を起こすというドライバー不在の連続事故が起こったことも笑い話のようですが実際にあります。
というわけでスタッドレスタイヤといえど万能なものでは決してないのです。が、このことを踏まえるとノーマルタイヤだと制御が論外なレベルになるということを頭に入れてくださると助かります。ノーマルタイヤで雪道を走ると簡単に死ねるよということです。
雪国舐めるんじゃねえぞ!(唐突な雪国特有のマウント
ちなみに、ガソリンスタンド、整備工場、イエローハットやオートバックスなどの店舗、ホームセンターなどでもタイヤ交換を受け付けています。ホイル組換えなしだとおおよそ2~4000円程度になるので、お店に預けてしまう人もいます。
僕はそのコストが惜しいのと、自分で管理したいという気持ちが強いので自分でやっています。ここから先は具体的な交換の手順となります。実際にはタイヤチェーンの装着手順とも共有できる部分もありますので、後日暇を見て追記したいなとか考えています。
地道な準備編
タイヤ交換をする際、最初に確認しなければならないもの、それは車検証、取扱説明書等の書面です。
これによって、確認すべきものがいくつかあります。
・車体重量
・ジャッキポイント
・タイヤの取付ナットの締付トルク
・タイヤの規定空気圧
・冬用ワイパーの規格
これらを予め確認するにはどうするか、詳細を解説しますね。
車体重量
車体重量はジャッキやリジットラックで持上げる車の重量のことで、製品選定の際は車体重量を超えた定格荷重の製品を購入しましょう。ここでエンジン、フレーム位置なども頭に入れておくと、後々イメージしやすくなります。
重量による潰れや激突が大変危険ですから、しっかり把握して事故を防ぎましょう。ちなみに、車体重量というのは車体本体、つまり荷物などの積載重量を含めていません。含めた場合は車体総重量と表現されます。ということで積み荷を降ろして作業するのが基本です。
なお、車体重量には燃料、冷却水、バッテリー、エンジンオイルがそれぞれ規定量分を含んでいます。積み荷と違ってこの辺は抜かんでええねんということですね。
ちなみに、トラックなどでいわゆる2t車、4t車という言葉を聞いたこともあると思いますが、これはおおよその積載重量を意味しています。車体重量が2トンとかあるわけではないので勘違いしてはいけません。
ジャッキポイント
ジャッキポイントも重要です。
各タイヤの前後にあるサイドジャッキポイント(名称はサイドジャッキ、タイヤジャッキなど様々です)、フロント部分を持ち上げるセンタージャッキポイント(これまたフロントジャッキ、センターポイントなど様々)、リア部分を持ち上げるリアジャッキポイント(牽引用ポイントなど)やその形状を把握しておくとよいでしょう。
マニュアルにはメンテナンスやスペアタイヤの取付の項目に記載されていることが多いです。なお、タイヤのサイドポイントは記載されていても、センター及びリアのジャッキポイントが記載されていない場合があります。辛うじてガレージジャッキやフロアジャッキ用と書かれている場合もあります。
あとはジャッキアップの高さも調べましょう。フロントのメンバー部分(フレームの名称と思ってください)にポイントがある場合、ロアアームのサスペンションの余裕分(接地性の向上と衝撃保護のため車体をクッションさせるためにタイヤが下がる仕組みになっています。)高く上げる必要があります。
わからない場合は、車載のパンタグラフジャッキの昇降幅をチェックすると良いです。
僕は念のためメーカーに写真付きで確認用のメールを送りました。また、お願いすれば大抵のメーカーでは整備用マニュアルの図面を送ってもらえます。日本の車メーカーのサービスは素晴らしいですね。
取付ナットと締付トルク
タイヤの取付ナットにはそれぞれサイズがあります。よく17、19、21の3種類が使われています。これは例えば17というのはHex17(M10)のことで、JIS規格の呼びサイズM10の六角平径17mmという意味です。同様に19はHex19(M12)、21はHex21(M14)のことを指しています。丸形、鍔付き、袋ナットなどナットにも種類があります。トラックなどの場合ダブルタイヤもあり、エクステンションの長さなどもチェックしておきましょう。詳しくは車載の工具を確認するのがセオリーです。車載工具は整備できるように作られています。
次に締付トルクです。JISでも締付トルクという項目はありますが、ここは車両の検査規格に従うのが正解です。ということでマニュアルを参考に調べましょう。前後タイヤあるいはスペアタイヤでは締付トルクが異なる場合がありますので、記載に注意しましょう。
タイヤの規定空気圧
タイヤには規定空気圧があります。規定圧まで空気を入れないと、運転が安定しませんしタイヤが悪くなりますからね。
マニュアル以外でも、運転席のドアを開けたところのフレームに書いてあることがほとんどです。
冬用ワイパーの規格
冬用ワイパーの規格は、購入するとき予め調べておくとは思いますが、念のため確認しておきましょう。サイズが違うと外れたりしてフロントガラスと傷つけてしまう場合があります。
ここまで確認したら次は作業用具の選定に入ります。未所持の方は購入の参考にしてください。
作業のツールの選び方!
作業のツールですが、人によって必要性は変わると思うのですが、独断と偏見で重要度を記載しました。☆マークが多いほど重要だと思っていただけると幸いです。
ジャッキ(☆☆☆ ※標準装備品使用可)
ジャッキは様々ありますが、基本的には積載重量を満たしていれば問題ありません。 特に最低でも車載のパンタグラフジャッキの使い方は覚えておくと良いと思います。
場所があるならフロアジャッキ(ガレージジャッキ)がオススメですが、ポイントが深いタイプだとロングジャッキが必要になります。また車高が低い場合はロングスリムジャッキが必要になるという感じです。カースロープあたりを併用することもできますが、ジャッキの押上高さが低すぎるとタイヤが浮かないので注意が必要です。
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女性の方は特に油圧パンタグラフジャッキを別途用意するのが快適で良いと思います。正直車載のパンタグラフジャッキは疲れるので、車載用と兼用の形で置き換えてしまうのがオススメです。緊急時には接地面が安定していないこともおおいので50cmくらいの角材(間柱材)を2本くらい積んでおくのをオススメします。
ゴムパッド(☆)
サイドジャッキはフレームを挟み込むようにして本体を持ち上げる必要があります。このとき、フレームに過度な荷重を掛けないためにジャッキポイント用のゴムパッドがあると本体を壊さずに済みますし、密着性が上がり安定もします。
車載ジャッキの場合は最初からポイントにセットできるように作られていますし、ラバーゴム付のジャッキもありますのでその場合は不要です。
木工技術に自信ニキの場合はコルク材、2X4材等の木材を加工してセットするライフハックもあります。
リジットラック(ジャッキスタンド)(☆)
個人的にはジャッキアップの後、リジットラックで固定させてしまうのが安全でおすすめです。ジャッキは意外とバランスが悪く、作業中に転倒してしまったことが2回ほどあります。リジットラックも荷重を確認して購入しましょう。
こちらもジャッキポイント用のラバーゴムがあると便利です。
検索するとたくさん出てきますが、高さと固定方法を確認しましょう。こちらのエマーソンのリジットラックはヘッドを持ち上げるだけで固定でき、最初からゴムパッドがついてきます。切り込み付のパッドではないですが、一通り揃っている便利な品です。
カースロープ(☆)
カースロープは車高の低い車両や、車体下にアクセサリーがついている車両をガレージジャッキで昇降させる場合に使用します。タイヤを溝に固定して安定させたりタイヤの交換高さを稼ぐこともできるので作業も少しだけ楽になるというメリットもなくはないのですが、この記事を読んでるレベルの人には必要ないんじゃないかと思ったり。
タイヤ交換以外にも、湿地や雪原でハマってしまったときに脱出用のスロープとして使えるものもオススメです。
こちらもガレージ用であれば角材で作ってしまうのもアリだと思います。
購入する場合は、こちらの積込可能な軽量型樹脂ジャッキがおすすめです。もちろんアクシデント時の脱出にも使えます。
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車止め(☆☆☆)
配達のトラックなどで使用している三角の物体ですね。タイヤ交換時に後輪部分にセットします。カー用品店以外でも売っています。
積雪スタック時に牽引車両との衝突や牽引車のオーバーランを防ぐためにも使います。雪国では正直こちらの用途のほうが大事ですね。
が、買うほどのものかなあと思うので僕は適当な角材をカットして使用しています。角材ばっかりやな。
積載する場合はロープ付がオススメです。あとは氷雪面でも滑らないストッパーポイントやスパイクを持ったものにしましょう。
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クロスレンチ(☆☆☆ ※標準装備品使用可)
車載工具にもレンチは入っていますが、タイヤ交換のナット締めにはクロスレンチがおすすめです。十字の形状をしており、回転時に軸がブレにくくネジ山をつぶす確率がぐっと減ります。力もかけやすくオススメです。
僕はタイヤ交換以外では使っていませんが、絶対にあった方がいいアイテムですね。
ナットの形状により丸ナットや袋ナットに対応しているか、深溝になっているか、薄肉になっているかなどを確認する必要があります。
折り畳み式のものもありますが、個人的には強度が不足。大人しく固定型クロスのものを買った方がいいですね。1,000円くらいで購入できます。
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トルクレンチ(☆☆)
通常のレンチで締める際に、定格トルクで締めきっているかチェックするための道具がトルクレンチです。安心安全のために1個はあった方がいいと思う反面、適切な工具の用法に従えば女性でも規定トルクで締め付けるのは当然とも言え、僕はというと当初2年くらい所持していませんでした。
個人的にはあった方がいいのですが、トルクレンチは校正不能な品も多く、校正可能な品はそれだけ高く、校正のコストもかかるため一考の余地があると感じます。
校正されなくても安心のために必要というなら、普通のレンチに荷重計つけてチェックしても同じわけで・・・ここは判断の分かれるところだと思います。本気でセミプロレベルを期待するならガチなやつがあるのですが・・・
オススメなのがエマーソンの薄肉ロングソケットとエクステンションが付いたセット品。価格も手頃です。
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あとはアストロプロダクツの限定品が同じようなセットで便利です。ナットを傷つけないために樹脂コーティングされています。アルミホイールにも対応ということです。限定品のため楽天の商品リンクが無くなってしまいましたが以前は販売していました。今回は公式通販サイトをご紹介しておきます。
https://contents.astro-p.co.jp/promo/2020-10_torquewrenchset/
エアーポンプ(☆☆☆)
エアーポンプは簡単に言うと自転車の空気入れですが、これでも車のタイヤの空気を充填することができます。先端が米式バルブに対応しているものを選ぶ必要があります。
正直結構疲れますが、後述する選択肢がどちらも微妙なので、個人的にはこれもアリかと思います。その辺のガソリンスタンドでタイヤチェックをお願いすればエアーくらい入れてくれますけどね。
オススメのエアーポンプはパナレーサー、3000円を切る価格でゲージ付き、米式、仏式バルブ対応です。自転車のタイヤは小さい頃から圧力ゲージをチェックをする癖をつけた方がいいと思います。パンクも減りますし、タイヤも長持ちしますよ。僕はロードバイク用に購入したんですけどね。
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コンプレッサー(☆)
コンプレッサーがあれば便利、そう思っては見たもののコストパフォーマンスは決して高くはないため躊躇する一品。個人的には所有しているもののタイヤ交換のためだけに取得するのは他人にはあまりオススメできないです。
詳しく解説が必要であれば別で記事にしなければならないほど、書く内容が多いと思います。空気を入れるだけなら4kgf/m2もあれば十分ですが、エアーインパクトレンチなどを使うのであれば圧力と容量に注意する必要があります。
インフレーター(☆)
コンプレッサーに代わって必要となるのが電動空気入れ。充電式のものが出回っており一台あると便利。とはいうものの、充填までタイヤ1個に数分かかり、充電も含めると10分近く時間を食います。それなりの容量になるとサイズも大きく価格面でコンプレッサーとトントンということで便利だけども悩ましいアイテムですね。
僕が持っているのはXiaomiの充電式エアーインフレーターです。150PSIまで対応で、ロードバイク用にも使えます。というかロードバイク用に購入しました。
六角軸ソケット+充電式手回しドライバー(☆☆)
ナットを素早く回すのに電動機器は欲しくなりますよね。簡単に六角軸ソケットを回せると作業速度が段違い。
しかし、一般的な電動ドリルやインパクトドリルはトルクが高すぎてネジ山を痛めがち。可変速は指先でバランスを取るのが難しい。
ということで低トルクの機器でナットを回すという逆転の発想によりネジ山を傷めない方法が便利です。必須グッズというよりは、ライフハックの類です。
サイズに合ったソケットを選びましょう。
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充電式手回しドライバーは多数ありますが、AnexやPanasonicなど既に持っている方はわざわざ買い替える必要はありません。六角軸ソケットにアダプターを使用して便利に使っています。
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ちなみに、充電式手回しドライバーの僕のオススメはWowstick 1P+です。精密機械の分解用に購入しましたが、日本人の手にちょうどいい細さってこっちだと思うんだよなぁ・・・。六角軸は普通のより細いので、専用ビットが必要です。
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エアートルクレンチ(☆)
コンプレッサーを持っているならぜひ活用したいのがエアートルクレンチ。しかしエアー工具は高いので正直そこまでしてタイヤ交換したいかと言われると・・・
便利で楽だけど重要度は上がらない悲しみの工具。でも持ってると自慢できます。10台以上整備するなら買うかな。
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そんな感じで必要なツールを手に入れたら、早速作業に取り掛かりましょう。
具体的な交換手順
1.重そうな荷物を降ろし、車を平坦な場所に移動させます。
2.カースロープを使用する場合はカースロープに乗り上げます。
3.後輪に車止めをセットします。
4.ジャッキをジャッキアップポイントの位置に合わせます。
予め数ミリのところまで上げ、位置をセンターに微調整します。
5.外すタイヤのボルトを全て緩め、2個だけ残して外します。
6.不要なタイヤを車の下にセットします。
7.2~3回ジャッキアップし、ポイント位置がずれていないか、ボディが変形などしていないか確認します。
8.タイヤが浮くまでジャッキアップし、地切りしたところでバランスを確認します。
9.タイヤを地面から2cmほど浮かせ、あればリジットラックをセットします。
10.リジットラックセット後も、念のためジャッキはギリギリの高さまで上げておきます。
11.残った2個のボルトを外します。
12.古いタイヤを外し、新しいタイヤと入れ替えます。タイヤは回転方向に注意しましょう、ローテーションもここでしましょう。
13.タイヤ用ナットを指またはハンドルでネジ山にかけ、2~3回回します。
14.ナットを掛け終わったら、芯がずれないよう注意しながらナットを締め付けます。
片締めを防ぐため、対角線になるように少しずつ順番に締め付けていきます。
低トルクの回転工具を使用すると良いでしょう。
15.軽く固定できたら、車の下面をチェックしましょう。点検の機会です。
16.下部のタイヤを避け、リジットラックを外し、車体を着地させます。
17.ナットを規定トルクで締め、しっかり締結します。
18.残りのタイヤも全て同じ手順で取り替えます。
19.トルクを規定トルクにセットしたトルクレンチで締め付けをチェックします。
20.タイヤにエアポンプで規定圧力まで空気を封入しましょう。
21.車止めを外し、5分程度自走します。
22.再度トルクレンチで締め付けをチェックします。
23.トルクレンチ使用後は設定トルクを開放するのを忘れないようにしましょう。
24.古いタイヤを洗います。溝にハマっている小石などを取ります。あればタイヤワックスで保護膜を作ります。
25.後日、気温の低い日に再度トルクレンチで締め付けをチェックします。
気温の低い日に締め付けると外れにくくなります。
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みんな丸太は持ったな!いくぞ!
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