実は自宅に井戸があるんですよ。災害にも強くて便利です。今回はその井戸のポンプ設備に異常が発生したので、その対処とリビルドについての記事です。
本記事を作成するにあたり、川本ポンプ様の画像を一部お借りしています。
井戸のある生活
自宅の給水系統は上水道なのですが、敷地内に貞子やいどまじんが出てきそうな浅井戸がありトイレや園芸揚水など一部使用していました。
コンクリート製で、概ねこんなやつです。流石に昔話にあるような滑車と桶は付いていません。基本的にはこの井戸に給水管(塩ビ管)を入れて、川本ポンプの浅井戸ポンプで吸い上げて使用しています。
地下水を利用できるのは災害にも強く便利ですよね。今後も使用していきたいところでした。
渇水と限界揚水量
ところが今年、寒冷のためか最高気温氷点下の日々が2か月以上続き、地下水位が低下してしまいました。
トイレを流したら思いっきり茶色い水が出てきました。地下水位が下がり、ケーシング内の普段水面の上下していない部分にある錆こぶや砂などが剥がれ、吸い込んだんですね。
井戸の水資源は、給水量が大きくなると急激に水位が下がります。その水位の変化が大きくなる勾配の給水量が限界給水量です(段階揚水試験などで計測します)。
限界揚水量に学術的根拠はあるのでしょうか?|公益社団法人 日本地下水学会
通常はその限界給水量を大きく超えないように設備を設置しているのですが、天候の影響によって大きく地下水位に影響を与えた結果、この限界給水量にも影響が出たのだと思います。確認してみると、吸込口付近まで水面が下がってきてしまいました。
例年はこれほど大きな季節変動はないのですが、今年の寒波が長く続いたのが原因だと思われます。
いわゆる渇水です。
井戸水はトイレ等の一部でしか使用していないため生活に大きな影響はないものの、普段使わないフロアのトイレに向かう必要があったりちょっと困る生活が続きました。
なお、それなら緊急用として上水道配管をつないで普段はバルブを止めておけば、と思うかもしれませんがクロスコネクションは禁止です。
水位回復と二次被害
さて、そんな時期も二週間程度で終わり、再び井戸から水が出るようになってきました。が、どうも怪しい動きをしているんですね。
渇水当初の錆や砂のようなものは出ていないのですが、水量が少なくエアー噛みを起こしているようです。念のため呼び水給水もしてみましたが、同じ現象が繰り返されているようでした。
原因は二つ考えられます。
①経年劣化によるインペラの摩耗でポンプの能力が低下しており、規定圧力まで上昇していない。圧力センサーはギリギリのところで停止。ゴム式弁を押す力も弱いため、給水管側のサイホン効果が働いていない。
②渇水で吸い込んだ際の異物により、ゴム式弁の動作に異常が発生。または異物が付着した状態。そのため、給水管側のサイホン効果が働いていない。
①はかなりシビアです。しかし、どちらかといえば経年劣化の類です。今回は因果関係のありそうな事象が発生しているので②を疑うのが定石かなと思います。
本機の設置年数も10年程度経過し、見たところ呼び水キャップのパッキン類も固くなっていたので更新時期ということなのでしょう。というわけでメンテナンスを行うことにしましょう。
交換部品の購入
浅井戸ポンプは、寺田、テラル、日立、など各社が販売しております。うちの機種は川本ポンプのNR-255という機種になります。屋外用ですが、凍結防止のため屋内にポンプ室を作りそちらに設置しています。
さて、本来であればチャッキ弁であるゴム弁部分だけ交換すれば良いのですが、年数も経過していますしもう少し長く使いたいところです。そこで、主要部品を交換し、本体を再整備するリビルドに挑戦してみたいと思います。
分解予定なのは、給水、排水、水抜き部、呼び水給水部の菱形フランジに、アキュームレータ、モーター部です。これらの部位にはパッキンが使用されているため、全て交換することにします。フランジ部のゴムの硬さからすると、他の部位も既に弾性を失っており変形しているものと思います。
また、今回の異常の疑いのあるゴム弁とその弁座部品も交換することにします。磨いて面を合わせて使えるようにしてもいいのですが、傷をつけないような作業に時間がかかるのと異物により傷がついていたら意味がないので・・・
念のためアキュームレータも購入することにしました。ネジ部が樹脂でできており、硬化したところに力を加え割れてしまうと大変だからです。取扱説明書だと3年ごとに交換となっています。ちなみに外部からエアー供給するバルブは見当たりません。
今回は錆を落としますが、塗装については割愛することにしました。塗装した方がきれいに見えるんですけどね。カバーもかけますし、そこは機能面だけのリビルドということでどうかお願いします。
ただし、最終的にモーター部が故障していたと判明した場合、モーターは部品としては高価で、このポンプの主要を占めるため全交換になりますが、今回購入した部材は予備品として使用可能なはずです。
分解整備するときは、シビアアクシデントを想定するのが基本ですね!
(シビアというほどでもないですけど。)
これらの部品は、メーカーから直接購入はできませんでした。が、Yahooショッピングに部品販売を行っている店舗がありました。無在庫販売のようで、メーカー直送のようです。悪く言えば利鞘を取られているのですが、一般人にはありがたいですね。
今回はYahoo!プレミアム+日曜日+指定店舗購入を使い+8.5%で購入しました。
数日後、全パーツが送られてきました。いい時代になりましたね。
ポンプの分解
まずはポンプカバーを取り外してみました。よく見るとアキュームレータは一度交換したらしく比較的新しいですね(忘れてた)。
アキュームレータはベルトレンチで取り外します。自動車のフィルタエレメント用のチェーンレンチでもいいのですが、本体に傷がつきます。
ベルトレンチはホームセンターに売っていました。
モーターを外そうとしましたが、想像以上に密着していました。Oリングとはめあいは更に内側でとっていると思いますので、外側の錆と塗装は剥がしてしまいましょう。便利なツールがなかったのでハサミで頑張りました。
インペラの状態は良好ですね。Oリングは完全に潰れていました。
良い機会なのでポンプケーシングを正装します。キャビテーションの痕跡もありません。十分使えそうですね。
密着面とはめあい部分は、クリーナーで汚れを落としたあと、1200番のサンドペーパーで磨きます。ガンプラ(RG Zガンダム)と一緒に買ってきました。
閉塞するほどではありませんが、吐出側も錆を落としておきましょう。
取付ボルトは同形同寸法のものがあったので、Oリング80とセットで交換しました。
呼び水タンクの蓋はあまり劣化は見られませんでした。
アキュームレータはあまり交換の必要性を感じないです。一応古い方を予備品にしておきます。
ひしフランジは仮組してみたところ旧品側のゴムパッキンのヒンジ部が割れていました。軽く合わせても弁座との間に隙間ができていたので、これが今回の異常の原因だと思われます。
吐出側のパッキンは、新品と比べるとかなり硬めです。茶色い部分は水の及んだ場所ですので、漏水しかけていたことがわかります。
再度組付しました。漏れもなく動作良好です。
完走の感想
井戸ポンプが故障したとき、慌てて新品を購入しなくとも、必要な部材を交換するだけで十分対応できる場合があります。今回は1/5のコストで修理することができました。
費用内訳
交換部品代 17,101円(1453Pts)
ペーパーサンダとRG Z GUNDAM 3,200円
ベルトレンチ 680円計 19,528円
コロナや半導体不足の影響でサプライに影響が出ている設備も多いので、部品交換やそれによるリビルドは今後注目されるのかなと思っています。
今後は事前に渇水がわかるよう、井戸に水位計を追加するなどの作戦も試してみたいなと思います。あとは高架水槽を追加するとか・・・ですかね。
みなさんも、セルフリビルドやってみてくださいね。